つけもの屋さんが梨ゼリーをはじめた話。

鳥取県が誇る果物といえば「梨」でしょう。
「幸水」や「豊水」などメジャーどころを中心に、頻出も非常に豊富。 特に二十世紀梨は国内の約48%のシェアを誇っています。

二十世紀梨は松戸覚之助(千葉県松戸市)に発見されて、「新世紀の王者になるだろう」という願いを込めて名づけられました。
その後、明治37(1904)年に北脇永治によって10本の苗木が鳥取県に導入され、今では堂々の生産量日本一に輝いています。

収穫時期は収穫は8月下旬から10月上旬まで。9月が出荷のピーク。この時期といえば、台風の季節とも重なります。
特に2023年の夏、8月15日から16日にかけて、台風第7号による猛烈な雨によって土砂災害が発生しました。鳥取市佐治町では観測史上1位となる1時間降水量97.5ミリを観測して、大規模な土砂崩れや橋の崩壊などは、ニュースでも大々的に放映されました。この佐治町は梨の産地でもあり、佐治町以外でも、市内のあちこちの梨農家で甚大な被害が出ました。

2023年だけでなく、出荷前に落ちてしまって青果として出荷ができない梨が毎年出てきます。
そういった梨をピューレ状にして二次加工することの需要は増加してきています。

県内外に鳥取の特産品として出されている梨農家さんの大事な梨をただ廃棄することなく使い切りたい。
そんな想いで商品化の企画が進んでいく中、私たちの会社に製造の声がかかりました。

そもそも梨農家さんと企画、製造を始められていた地元の企業さんから、その製造を担ってくれないかというお話を頂いたのはコロナ真っただ中の2020年の春。
観光客も百貨店やスーパーでの催事や試食もないそんな先の見えない時期でしたが、まずは前に進まないといけない時期です。とにかく試作から始まりました。

同じ梨の果汁を使った商品でも、カップゼリーは菓子製造業、パウチタイプは清涼飲料水製造業と、そもそも製造の許可も違い、色々と戸惑うことばかり。しかしたくさんの方のご協力があり、またゼリーの原料メーカーさんからもとても丁寧にレクチャーいただき、試行錯誤しながら進めてきました。

 

梨の皮のみどり色の中に黄色い模様が散在して見える(トラ熟れ)梨は、糖度が高くおいしいとされていますが、これがピューレ状にすると異物のように見えたり、濾すとき食感のザラザラとして残らないようにするのもひと苦労。

ひとくちに21世紀梨といっても、いろんな個体差があり、果実自体の糖度もバラバラです。梨をピューレにした時の粘度や糖度も少しずつ変わってきますので、ピューレの濾し方だけでなく、微妙な味の調整や、攪拌の仕方も変えて製造していきます。

幾度とない失敗と、有識者の方からの貴重なアドバイス、そして社員たちの努力の結晶の末、なんとか安定した製品が作れるようになりました。製造スタッフに感謝です。

私たちが直接農産物としての梨を売ることはないですが、ゼリーを通して鳥取のことを知ってもらったり、梨狩りに興味を持ってもらったり、鳥取のものって美味しいねって言ってもらうことで、鳥取の魅力を知ってもらえるきっかけ作りができればと製造をしています。

私たち泊綜合食品の祖業は、鳥取の美味しい大根を、漬物を、全国に届けよう始まった会社です。
全国の美味しいものを全国の食卓に。
それが時に漬物でないこともありますが、先代からの美味しいものをお届けするという気持ちへ変わりはありません。

「つけもの」ももともとは越冬のため、野菜を余すことなく食べ続けるために漬けられたもの。

梨も、青果としてだけではなく、加工品としてもその美味しさを届けるための形を変えて、ゼリーとなって食卓へお届けをしています。

鳥取の梨はいわば地元を盛り上げる希望の光。
そういった農産物、特産品をお届けできることは私たちにとっても喜びであり、県内外に地元の特産品として出されている農家さんと一緒に地元を盛り上げていけることがとても誇りでもあります。

こちらの商品は、鳥取空港や砂丘などの観光地で購入して頂けます。

鳥取にお越しの際はぜひ、鳥取の味を味わって頂けると嬉しいです。

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