やっぱり間違いない! 紀州綜合食品の梅干しの理由。

前回の産地探訪(詳しくはコチラ)に続いて、今回の舞台も梅干しの生産量全国NO.1である和歌山県。梅好きの方には言わずと知れた「南高梅(なんこううめ)」の産地です。

 

季節は2024年新春。

道すがら、例年より早い梅の花がチラホラ見えていたのですが、目的地である「紀州綜合食品」さんに到着すると、社屋の前の梅もずいぶん咲いていました。

紀州綜合食品さんの社屋前に咲く梅

今年は本当に早いんだと驚きつつ、お話をお伺いします。

今回お話をお聞きするのは紀州綜合食品代表取締役の杉本宗一さん。

インタビューはお馴染みの岸田です。

味を守る。そのための一貫製造。

岸田

本日は貴重なお時間をいただいてありがとうございます。

和歌山に来たら、ぜひ紀州綜合さんにお伺いしたいと思っていました。

 

杉本

こちらこそありがとうございます。

泊さんとお付き合いをはじめたのは40年以上前ですか。実は以前、一度お会いしたことがあるのですが、その頃はまだ赤ちゃんでしたね。

 

岸田

はい、ずいぶん大きくなりました(笑)。

 

当時からは漬けもの業界も様変わりしましたが、梅干しは変わらず主役のひとりで。うちにも「どこかいい梅干しない?」という声も届くのですが、迷ったらまず紀州綜合さん推すという。

 

各社さん、梅干しの個性はさまざまですけど、紀州綜合さんのは間違いないんですよね。何を選んでも大丈夫!の安心感があります。今日はその辺りの秘密というか、秘訣をお聞きできればなと。

 

杉本

嬉しいですね。ありがとうございます。

 

岸田

さっそくですが、紀州綜合さんの梅干しの特徴といいますか、大切にしていることを教えていただいてもよろしいでしょうか?

杉本

そうですね、まずある程度の規模感を持って、青梅から加工まで一貫製造しているところでしょうか。

うちがある(和歌山県の)みなべと田辺で、全国生産量の6割近くの梅が採れます。それだけ梅のメーカーやら業者がいるわけで、棲み分けする方が自然なんです。

 

岸田

6割ですか。それはすごい量の梅ですね。

 

杉本

今はまだチラホラですけど、もう少しすると山が真っ白になりますよ。満開の梅でね。遠くの山を見ても、あそこに梅があるな、ってすぐ分かるんです。うちもですが、ここらへんの梅園も公開して、土日はずっとイベントしてますよ。

 

で、この地域にはすごくたくさん梅の農家さんがいるわけなのですが、同じ地域、同じ品種であっても、当然出来上がる梅は違います。大粒が多いときもあれば、小粒ばかりのときもある。そういった品質のバラツキは、農作物である以上避けられないのですが、自社で徹底的に管理することである程度のコントロールはできます。

岸田

はー。それを一定以上の規模でやるのはかなり大変そうですね……。

 

杉本

うちの場合は、農家さんからの仕入れを調整しつつ、足らないところは輸入も行っています。

 

そうやって安定的に青梅を確保しつつ、すべての青梅を自分たちの目と手で選別して、きっちり加工まで持っていく。そうすることで差が出やすい梅の熟度や仕上がりの品質を揃えていくんです。

 

岸田

なるほど。紀州綜合さんの梅が間違いないと思える理由がよく分かりました。

岸田

それにしても、これから梅の花が咲いて、実がついて、一気に収穫ですよね? 産地ゆえに、その季節は本当に大変そうです。

 

杉本

それはもう、仕方がないところです(笑)。

例年、梅の収穫は5月上旬から始まります。最初は小梅干し用で、6月上旬には梅干しの加工が始まります。農家さんが大変な時期ですね。

 

少しありがたいのは、この辺りの産地は海岸線から山間部まで広がっているので、ずいぶん環境が違って収穫に1ヶ月程度ズレがあるんです。この期間に受入体制を整えたり、ずいぶん助かってますね。

紀州綜合食品さんの本社すぐの海岸。この日は穏やかな海でした

杉本

今の季節(新春)は、原料がない時期ですが、製品づくりは年中行なっています。

せっかくなので、ぜひ工場もご覧ください。

 

岸田

はい、ありがとうございます!

というわけで、製造現場を見学させていただきました。

ここからは現場をダイジェストでお届けします。

こちらはすでに選別が終わって、漬けられた梅。

うーん、実に美味しそう。

これを一つひとつ、手作業で丁寧に詰めていきます。

 

こうしてどの梅を見てもぷっくら美味しそうなまん丸の形をしていますが、この梅の形をどのキープしてふんわりとした食感に仕上げられるのは、誰でもできることではありません。

この当たり前の品質の高さが、私たちが紀州綜合さんを推す大きな理由の一つでもあります。

一斉に作業される様子は壮観!

大玉ひとつだけの商品もあり、そちらは機械で正確に重量を測った上で袋に詰められます。完熟した梅の皮はとっても繊細。そのため専用のマシンで一つずつ和紙の袋に入れられ、丁寧に封をして、最後にシールを貼って箱詰めすれば完成です!

 

もうこれだけで手に取って食べたい存在感があります!!

せっかくなので他の商品も。

炊き立てのご飯が欲しくなりますね〜。

 

今回は、特別に品管のスタッフさんの作業工程も見学させて頂きました。

紀州綜合食品さんでは、品質管理に万全を期すために成分分析装置を使った検査も行なっています。

残留農薬はもちろん、味に関係するさまざまな数値を管理することで、一年中変わらない梅干しをお届けしているとのこと。

 

今回ご対応いただいたスタッフさんも若い方でしたが、とても丁寧な案内をしていただきました。日々の徹底された管理を感じることのできる時間です。

 

やっぱり、紀州綜合さんの梅干しなら間違いないですね!

今回はありがとうございました。

取材を終えて

ずっと訪ねてみたかった紀州総合食品さんを訪問させて頂いて、「美味しい」の正解が分かったような気がします。

2024年は本当に梅が不作の年でした。やはり梅の花が早く咲いてしまって、ミツバチの受粉がうまくいかなかったり、春先に雹が降ったりと、農家さんも梅干しメーカーさんにとっても大変な年でした。それでも、美しく、口に入れると幸せになる梅干しを提供し続けられたメーカーさんには本当に感謝します。

 

今年(2025年)は梅の花もゆっくり咲いているようです。ただ夏場の暑さや秋の天候の影響もあって、順風満帆とはいかない様子も聞こえてきますが、温かい春を迎えられるよう私たちは祈るばかりです。

 

日本人のソールフードである梅干し。
これからも一粒一粒を愛でながら食べたいと感じる産地探訪でした。

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